2020年11月11日

美術家とイラストレーターの違い

同じ「絵描き」にしても、
  
「美術家」と「イラストレーター」の違いって、
明快に説明できますか?
  
  
もし、「絵の仕事」で食っていきたいと思うのであれば、
それぞれの定義をきちんと理解しておく必要があります。
  
まぁ、私の読者にそんな人は少ないかもだけど(笑)
  
  
なぜ、「訳のわからない抽象画」に高額な値段が付くのか?
  
その理由が知りたければ、
【 ヨーロッパの美術史 】を理解する必要があります。
  
加えて、「各々の作家の辿ってきた経歴」も理解する必要もあります。
  
  
なぜかというと、美術界で「絵に付く値段」というのは、
【「絵のクオリティ」に対する値段 】では無いからです。
  
  
例えば、イチローのサインボールには、
ただのボールより高い値段が付きます。
  
それと同じ事です。
  
  
ボールの「機能・性能としての値段」ではなくなるのです。
  
  
発掘された古代の食器にしても、
機能としての値段ではなく、歴史的価値としての値段が付きます。
  
  
例えば、みなさんが「フィギュアスケート」や「体操」の
オリンピック選手だとしましょう。
  
だとするならば、「審査員が何に得点を付けるのか?」
  
をきちんと理解して、自分の演技を組み立てる必要があります。
  
  
美術界では、「何に点がつくのか?」を理解しないままに、
  
自分の好き勝手に描いていても、
よっぽど「偶然が重なる様な形」で運が良くないと、
  
高い評価は受けられないでしょう。
    
  
そして、美術業界は非常に特殊で、
「評価基準」も時代と共に変化していくのです。
  
  
レオナルド・ダ・ヴィンチ、
ミケランジェロ、ラファエロが活躍した時代、
  
15世紀の初期ルネサンスでは、
「教会のオーダーによる宗教画」が求められました。
  
  
その時代、とにかく「絵の上手い人」が評価されました。
  
  
現代ほど、画材も揃っていない中で、
「金属の光沢、ガラスの反射、布のシワ、肌の質感」を油彩で細かく表現できる。
  
そういう技術の高い人が評価されました。
  
  
ルネサンス以降、そういう技術の高い画家に対して、
  
「教会、皇帝、王様、貴族、富裕層」が、
宗教画や肖像画、風景画を描かせていた訳です。
  
  
しかし、19世紀になると「写真」が発明されます。
  
  
美術家たちは、絵にしかできない表現を考え始めます。
  
  
その流れで、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホなどの
印象派・印象主義と呼ばれる表現が生まれます。
  
  
それ以降、写真っぽく無い絵…、
シュルレアリスムやピカソのキュビズムなどを経て、
  
「現代美術・モダンアート」に続きます。
  
  
現代美術では、「芸術とは何か?」ということを考えさせられる様な、
  
【「既成概念」や「固定観念」を覆す様な作品 】
が評価される様になりました。
  
  
要は、【 哲学 】です。
  
  
「哲学にインパクトを与える作品」も、高く評価される様になったのです。
  
それはつまり、「美術史に影響を与えた作品」と言う事です。
  
  
ですから、「現代美術」と「イラストレーター」の違いは、
  
【 哲学的要素が備わっているかどうか? 】の違いであると言えます。
  
  
いや、別に哲学的要素が備わってなくても、
どんな絵を書いても自由ですよ。
  
「趣味」の延長であれば。
  
  
それも立派な芸術表現です。
  
  
ただ、「売れたい、評価されたい、仕事にしたい」と思うのであれば、
  
「高く評価される絵とはなんぞや?」を理解しないと無理です。
  
  
そもそも、画商なんて「お金になる絵」にしか興味ないですから。
   
「将来、お金になりそうにもない作家」の作品に投資する画商はいません。
  
  
画商も仕事ですからね。 「個人的好み」や「趣味」でやってる訳じゃない。
  
  
現代美術で高く評価されるのは、【 哲学 】です。
  
  
この世には、「可愛らしい絵」を描く人もいると思います。
  
大衆が気にいる様な絵を。
  
  
でも、それは現代美術家の仕事ではなく、イラストレーターの仕事です。
  
  
そういう絵は、「本の表紙、挿絵、企業の広告に使われる様な仕事」です。
  
  
「美術作品のコレクターが欲しがる様な絵」とは違います。
  
  
「絵の需要」も様々です。
  
  
「イラストレーター」の目指すべき方向性と、
「現代美術・モダンアート」の目指す方向性は、かなり違います。
  
  
わかりやすく言うと、
  
「大衆文化(ロウアート)」と
「金持ちが喜ぶ高尚な哲学(ハイアート)」
  
みたいな感じです。
  
  
現代美術は「哲学を考察するモノ」だから、
大衆には全く理解ができないのです。
    
ちゃんと「美術史」と「作家の思想」を勉強すれば、
理解できる様になりますけどね。
    
  
ルネサンス期は、「絵が上手い人、技術が高い人」が評価され、
現代アートでは、「哲学に影響を与える人」が評価されるのです。
  
評価基準が全然違いますよね。
  
  
でも、それは「科学の発展」や「人類の精神の成長」によって起きた、
自然な変化とも言えます。
  
  
私は絵の技術は高くありませんが、
「哲学」に関しては世界一得意な人間です。
  
哲学を文章で表現すると「哲学者」ですが、
二次元や造形物で表現すると、「現代美術家」という訳です。
  
  
もちろん、「絵の技術」は高い方が「表現の幅」は広がりますが、
  
哲学が得意な人間は、
「現代美術家としての素養は十分」だと言えると思います。
  
  
こう言うことを理解しないと、「お金になる絵」は描けないし、
  
もし仮に運よくお金になったとしても、
   
・評価されるのは本人が死んでから…とか、
・画商は儲かっても、作家は儲からない
 
みたいな事になってしまいます。
  
  
スポーツで言うと、
  
陸上競技は、ただ早く走れば一位ですし、
それは機械が測定します。
  
でも、演技が絡む競技になると、「審査員」が存在します。
  
そうなると、選手する側も、
「審査員が何に得点を付けるのか?」を理解しないと、
  
高得点は狙えません。
  
当たり前の話ですね。
  
  
ゲームで勝とうと思ったら、まずルールを理解する必要があります。
  
でも、人生や経済、結婚などにしても、
「ルールを理解しないままにゲームをプレイしている人」が圧倒的に多い。
  
  
ルールの理解、大事です。


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