2018年06月26日

感情と現実の捉え方

前回の記事では、
「私がどういうスタンスで心理を研究してきたのか?」
  
という事をお伝えしました。
  
  
心理を研究している人間を大別すると、
  
大学系 → 「統計データ」と「傾向」を研究
  
自己啓発系 →「自分の経験則」や「上手く行った人の共通点」を研究  
  
宗教系 → 釈迦やキリストの発言が正しいという前提で、解釈を考える
  
って感じに分かれると思いますけど、
私は、そのどれでもありません。 
  
  
そして、
【「感情のメカニズム」を最優先に研究してきた 】
  
という事も書きました。
  
  
私がまず不思議に思ったのは、 
    
まったく同じような状況に遭遇しても、
  
・ある人はネガティブな気持ちになるのに、
・ある人はネガティブな気持ちにならない事です。
  
  
そのメカニズムが解明できれば、
「ストレスを減らす事に役立つだろう」と思いました。
  
  
そして、人間の感情を生み出すのは、 
  
【 本人の「考え方、捉え方、思い込み」である 】
  
という結論に辿り着きました。
  
  
例えば、「注射を打たれる」という現象があります。
  
「見知らぬ覆面の男」に注射を打たれたら、
「殺される!!!」と思うかもしれません。
  
でも、実はその人はお医者さんで、
自分の病気を治すワクチンを打ってくれたのです。
  
そう思えば、「ありがたい!」という気持ちになります。
  
  
どちらにしても、注射は痛いです。
  
  
【 痛いという感覚(肉体にとっては不快)】がする事ですら、
  
「自分にとってめちゃくちゃ良い事をしてくれている!」と思えば、
「有り難い」という気持ちになるのです。
  
  
・自分にとって良い事が起こっていると解釈するのか?
・自分にとって悪い事が起こっていると解釈するのか?
   
【 感情 】とは、シンプルにそれだけの話なのです。
  
  
ただ、ここで注意が必要です。
  
  
実際には「自分にとって悪い事」が起こっているのに、
それを良い事だと思い込むパターンも有り得ますし、
  
その逆に、
  
実際には「自分にとって良い事」が起こっているのに、
それを悪い事だと思い込むパターンも有り得ます。
  
  
例えば、「宗教の教祖」に騙されてお金を奪われているのに、
【 その教祖に救われていると感じている信者 】は、
  
実際には、自分は騙されているのに、
それを「有り難い」と思っちゃっている訳です。
  
  
逆パターンで行くと、「犬」や「猫」は、
「シャンプー」や「動物病院」を嫌うかも知れませんけど、
  
それは、「自分の為になる」と理解できていないからです。
  
  
【 不快感=自分に取って害 】だと、単純に思っていますが、
  
実際には、イヤな注射を打たれることで、
狂犬病などから救われているかもしれません。
  
  
まぁ、人間にもそういう人はいますけど(笑)
  
  
ですから、誤解を無くすためには、
  
【 本当に自分の為になる事なのかどうかを、きちんと理解する必要 】
  
があります。
  
  
もし人間に、
「目先の不快感を乗り越えてでも成し遂げたい何か?」
  
という目的意識が無ければ、
  
その人は、「ただ目先の不快感から逃げようとするだけ」の、
【 動物的な人生 】になってしまうでしょう。
  
  
そんな人は、
  
ただ、「目先で心地良い感覚」を与えてくれる宗教の教祖に、
騙されてしまうかもしれません。
  
  
もちろん、人生の中で「ネガティブな感情」を減らし、
「ポジティブな感情」を増やしていく事は大切ですが、
  
「感情だけを判断基準」にしてしまうと、上手くは行きません。
  
  
人生においては、「目先の感情」に振り回されず、
【 理性的な判断 】をした方が良い場合が多いのです。
  
  
例えば、多くの場合、
  
・小学生くらいの年齢だと、「運動が得意な男子」がモテます。
・中学、高校生くらいの年齢だと、「不良っぽい男子」がモテます。
  
  
でも、「その男子と将来結婚して上手く行くかどうか?」は、
まったく別の話ですからね(笑)
  
  
一時の感情に振り回されることが、人生の成功法則では無いのです。
  
  
むしろ、「感情に対する知識・知恵」は、 
  
人生において、極力「理性的な判断」をしていくために、
    
【 自分の感情を、自由にコントロールする為 】に使うべきなのです。
  
  
  
それで先ほど、感情を生み出すのは、
  
【 本人の考え方・捉え方、思い込み 】だと言いました。
  
  
しかし、その「人間の考え方・捉え方・思い込み」というのは、
  
無意識(潜在意識)レベルに存在していて、
多くの場合、【 無自覚 】なのです。
  
  
例えば、以前の記事に書いたことですが、
  
【 お金は奪い合うモノだ! 】という思い込みを持っているがいます。
  
  
実際には、まったく真実じゃありませんが、
本人にとっては真実だと思い込んでいる訳です。
  
  
そういう「真実では無い思い込み」の事を、
  
【 ネガティブ観念 】と呼びます。
  
  
で、その「ネガティブ観念」が一般常識化している事ほど、
  
真実が理解しにくくなります。
  
  
例えば、現代の社会においては、
【「お金」について真実で無い思い込み 】を持っている人が多いです。
  
・お金は限られている
・お金は奪い合うものだ
・お金を儲けるには特別な才能が必要だ
  
そういう「真実では無い思い込み」を持っている人が多い訳です。   
  
  
例えば、ベーシックインカムの賛成派の人のほとんどは、
  
【 経済的弱者は、自力で自由にお金を稼ぐ事はできない 】
    
という「真実では無い思い込み」を持っています。 
  
  
私の様に、「子供の頃から適切な教育を施せば、
誰でも、自由に経済力を高められる」と考えている人間は、
  
強者から奪ったお金を弱者にばらまくより、
経済教育を施して、そもそも強者に育てれば良いと考えます。
  
  
でも、ベーシックインカム賛成派の人は、 
 
自分がそういう「真実で無い思い込み」を持っている事にすら、
気付いていません。
  
  
言われないと気付かないくらい、
自分にとっては当たり前の真実になっちゃっている訳です。
  
実際には間違った思い込み…、つまり「勘違い」なのですが(笑)
   
   
しかし、「真実ではない思い込み」をたくさん持てば持つほど、 
   
世界や現実を、歪めて捉えている事になります。
  
  
そうすると、【 適切な対策 】を打つことが出来ません。
  
  
しかも、その「真実ではない思い込み」が、
一般常識化している事もあります。
  
  
そんな場合が、非常に厄介です。
  
  
例えば、
  
【 日本人のほとんどが勘違いしていて、間違った事を信じている… 】
  
という事もたくさんあるのです。
  
  
昔は、「地球が球体であるという事実」も、全く信じられていませんでしたし、
  
【 人類全体が間違った事を信じる可能性 】は、いくらでも有り得ます。
  
  
まぁ、私から見れば【 有りすぎ 】なのですが…。
  
    
では、【 真実では無い思い込み(ネガティブ観念)】は、
  
どうやって自分の意識に植え付けられるのでしょう?
  
  
大体は、親の思想を受け継いだり、常識を盲信します。
   
   
アインシュタインは、
「常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである」
  
と言いましたけどね。
  
  
何度も言っていますが、
  
「視覚化できる分野」については、
人類はそこそこ賢いと言えるでしょうが、
  
「視覚化できない分野」については、
人類は未だ、間違った事を信じまくっています。
  
  
そもそも、潜在意識下のネガティブ感情を感じたくないから、
「自分の感情を感じる感覚」を麻痺させている人も多いのです。
  
そんな状態では、
【 感情について理解する 】どころではありません。
  
  
人類は、感情について無知なのです。
  
というより、「ネガティブ感情」を嫌がりすぎて、
【 見ない様に無視している 】のです。
  
  
例えば、転んで怪我をしたら、肉体が痛みを感じます。
  
肉体が痛みを感じると、「何とかしないと!」と思って、
病院に行くなり、対策を取るでしょう。
  
  
しかし、肉体の痛覚が麻痺していたらどうですか?
    
骨折していても、気付けないかもしれません。
  
  
そうして放置していたら、どんどん症状が悪化していきます。
  
  
肉体の痛覚を麻痺させるのは出来なくても、
感情の痛覚を麻痺させることが出来るのが、人間です。
  
  
で、感じないままに溜まりに溜まったネガティブ感情が爆発して、
うつ病になったり、暴力的になったり…、
  
という目に見える症状として現れるようになるのです。
  
  
ここで言いたい事は、
  
【 痛いことには早く気付いて、対処した方が良い 】という事です。
  
  
傷が浅いウチに、さっさと治した方が良いのです。 
  
その為には、「感情を感じる感覚」を鋭敏にする必要があります。
  
  
痛みを感じないと、まず治療しようとも思いません。
  
  
臭いモノにフタをしたところで、
臭いモノは消えないどころか、状況は悪化の一途を辿ります。
  
  
例えば、味覚がバカになっている人々が暮らす国で、
「美味しい料理」が研究され、発展する訳が無いのです。
  
  
人間が感情について深く理解するには、
  
まず、【 感情を感じる事に集中 】する必要があるのです。
  
  
まず自分の感情がわからないと、
  
自分が【 真実で無い思い込み(ネガティブ観念)】を、
持っている事にすら気付けません。
  
  
自分の感情を感じていない人は、
  
・「間違った真実」を信じていても、
・「現実を誤認」していても、
  
その事自体に、まったく気付けないのです。 
  
まず自覚すら出来ません。
  
  
積極的に「感情」を感じることで、
「真実で無い思い込み」に気付けるのです。
  
  
そして、「真実で無い思い込み」に気付くから、 
 
現実や真実を正しく理解できるようになり、
正しい対処・選択が取れるのです。
  
  
実は、
  
【 感情とは、現実の捉え方に深く影響している 】という事です。
  
  
「感情を感じる感覚」が正しく機能していない人は、 
  
「現実の捉え方」がどんどん歪んでいくのです。
  
  
感情を初めから排除するから、理性的になるのではないのです。
  
感情をちゃんと感じた上で、律するからこそ、理性的なのです。
  
  
まず己の感情を麻痺させるのでは無く、
しっかり感じた上で制さなければ、理性的になる事は出来ないのです。


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